「ああ、マリエット侯爵。全ての真実はディオンに話したよ。ディオンの処遇に関してはお前に任せる」
「かしこまりました。当家といたしましても、国家に不義を働いた者を後継ぎにはできません。よって、ディオンは勘当とし、当家の後継ぎは弟のローランとします」
「なっ!!! マリエット侯爵! この私を勘当するというのか!」
「口を慎め。私はお前の実の父親だ、お前はもう王太子でもなんでもない。即刻王宮から出て行きなさい」
「くそおおおおお」

 ディオン様は叫びながら泣き喚いて床を何度も叩きつけている。
 彼の真面目だった頃の記憶がよぎって切なく感じるけど、彼は間違いを犯してしまった。


 私とディオン様の婚約に隠された真実を打ち明けたあの日からしばらくが経った頃、クロード伯爵令嬢が王太子でなくなりただの平民になったディオン様からすぐに離れていったのを伝え聞いた。
 彼女にとっては結局『王太子』であるディオン様にしか興味がなかったみたいね。
 でもまあかなりディオン様との遊びに家のお金を使い込んだそうで、クロード伯爵にしばらく謹慎を言い渡されたらしいけど。