お姉様の優しさに触れて私が覚悟を決めた翌日から、学園では私は「王太子の権威を利用するだけして、さらに好き勝手やっていた悪女」として噂の的になっていた。
 クロード伯爵令嬢にはそれはそれは酷いいじめをしたと勝手に噂が広まり、私は廊下を歩いていても教室にいても好奇の目に晒される。
 婚約破棄をされたともあって、私を皆避けていく……。

 そうよね、『悪女』となんて関わりたくないわよね。
 そんな日々が数日続いた頃、内々に進めていたある事の準備が整ったようで、私は王宮の謁見の間へと向かう。

 しばらく経つと、マントを着て髭を蓄えた我が国の王がやってきて玉座に座る。
 そのお姿はなんとも凛々しく堂々となさっており、威厳に満ち溢れていた。

「待たせたな、クラリス」
「いいえ」

 そんな国王に跪きながら礼を尽くすと、面を上げるようにと言われる。
 そのすぐ後に、扉が突如開きそこには何も知らされていないディオン様とクロード伯爵令嬢がやってきた。

「父上、お呼びでしょうか。──っ!」