「おはようございますっ!休んでいたときの課題です」

 元気よく挨拶して、ごそごそとかばんから紙束を差し出す。

受け取った先生は少し驚いていた。


「風邪は大丈夫なんですか?」


 それもそうだ。

休んでいたときのプリントを登校初日に提出するなんて、ズル休みしてたなんて思われちゃうかも。


 昨日杏ちゃんからもらったそれは、実はあの後一人でがんばったんだ。

思いのほか、太一さんがいなくってもできた。


 それが嬉しくって、なおさらペンが進んだのだ。



「はい、ご心配おかけしました」

 ペコリとお辞儀をして職員室を出る。


 実質、学校を休んだのは2日間だけなのに、1週間くらい休んだ気分になってる。

 教室の扉を開くと、一斉にクラスメイトの視線を受ける。


「おはよう~」


 心配そうに見てくるみんなに声をかけて席に着く。


 かばんから教科書やノートを引っ張り出しているときだ。


「わっ!」

 勢いよく肩を叩かれて、思わず飛び跳ねた。


そんなあたしを笑うのは、昨日会いにきてくれた親友。


「杏ちゃん~っ!!」

 まだ心臓がバクバクいって、落ち着いてくれるまでは時間がかかりそうだ。

さらさらの黒い髪を揺らしてあたしの前の席に着いた。