白いシャツの長袖に腕を通し、クリーム色のベストをかぶる。

膝丈の紺色のスカートとさらにそれより深い色のソックスをはいて、かばんを肩にかけた。

きゅっと左右で髪も束ねて、これで完成。


「お父さん、行ってくるね!」


 早いなぁっていうお父さんのぼやきがかすかに聞こえたけど、久しぶりの外気に触れたあたしはそんなのお構いなし。


 深呼吸をして青い空を仰ぐと、おはようっていうみたいに小鳥が鳴いた。



体調は絶好調!!


 あたしは見慣れた制服がちらちらと集まり始めた道を、すこし急ぐように地面を蹴った。





 商店街には入らないで、反れた道をまっすぐ行くとそこにあたしたちの通う中学校はある。

特に目立つような業績があるわけでもないし、悪名高いワケでもなく。

まさに平和な学校だと思う。


 春は桜並木だけど、この時期は緑がいっぱいで葉っぱが作ってくれる木陰を頼りにその道を進む。

時間にしたら20分くらいかな。



 同級生やら後輩たちがにぎわう昇降口で上履きに履き替えると、教室にはいかずまず職員室に向かった。

 カンカンと錆びかけた金属をノックして、開きの悪いそのドアを引いてお辞儀をした。


「失礼します、福原先生いますか?」


 すぐあたしに気づいた担任の福原先生は、あたしの待つ入り口にやってきた。

中肉中背でのんびり屋のあたしよりさらに穏やかに見える。