がんばる?

あたしには杏ちゃんの言葉の意味がわからない。



「じゃあ、オレも帰るよ」


 まだ少し笑ってる太一さんは軽い足取りで玄関に向かう。

あたしはそれについていった。



 昨日一日会わなかっただけなのに、ものすごく久しぶりに感じた。

ここ数日は毎日あの喫茶店に通っていたからそう思うだけなのか。


 トントンとつま先を地面に叩きつけて、太一さんはくるっと振り返る。


「明日は、絶対こいよ?」


 乾かしてくれた髪を優しく撫でて、扉の向こうにいってしまった。

 きっといつもならデコピンの一つでもあるのに。





 あたしが風邪を引いたから…?




 今までとはなにか違う気がした。