彼女の後ろから同い年くらいの少年も呆れたようにやってくる。

どうやら鼻が直撃したらしく真っ赤になったところを必死にさすってた。


「ごめん、大丈夫?」

 オレも痛かったけど、さすがに女の子の顔にぶつかったのなら後味が悪い。


 かがんで彼女の顔を見ると、ビックリしたように頬をピンク色にした。


「あ…、はい、大丈夫です」


 ニコリと笑ってオレから離れると、一礼してから彼女は少年の元へと駆け寄る。

オレも二人の後姿を見送り歩き出そうと一歩踏み出した。



「未来、大丈夫かなぁ?」

「バカは風邪引かないはずなんだけどなぁ」



 ミライ…?



 まったく人違いかもしれないけど、かすかに聞こえたその名前に走り出した。



「ヒナ、言いす…ぎ…」


 彼女の言葉の途中だったけど、かまわない。

間違っていてもいいんだ。



 小さな肩を、はあ、はあ、と息を切らせながらオレは勢いよく掴んだ。


 まだあどけない二人の驚いた顔。


「未来って、どうしたの…!?」