瞬間、ネクタイが引っ張られ首から勢いよく体が前のめりになる。


 目の前にはサトの思い切り瞑られた瞳。

 唇には温かい、感触。



…温かい?

オレは今、何してるんだ?



 夕暮れがかった西日が店内に差し込んで、後光のようにサトの髪を光らせた。




 ようやく気づいた。

 温かい吐息は、オレとサトの息遣いが混ざってしまっているから。


 なんでだよ。


そういいたかったのに。