フォーチュンクッキー

　あじさい祭りが開催された週末。

それも明けると、オレは出席日数のために登校した。


　気分転換にもちょうどよかったのかもしれないけど。


もう答えは決まっているはずなのに、どこか迷っている自分に更に驚いているんだ。


　最近ずっと広げてた中学の教科書。

当然、頭に入ってこなくてただ文字を追っかけるだけになってしまっていた。


「ああ～……」


　もう、なんだっていうんだ。



　情けない声を出して、机に突っ伏した。


　夜だってろくに眠れていない。
　
あのあとまた休憩所に戻って普通に仕事していたけど、記憶はないし。



　オレは一体どうしちゃったんだっ。




「センセェ、や～らし～」


　ドッキンと大きく心臓が口から飛び出しそうに飛び跳ねた。

この声の主はもちろん。


「れ…怜っ!!」


　しばらく鳴り止みそうにない左胸に手を当てて、少し荒くなってしまった息を整える。