いきなり暗くなったこの空間に沈黙が訪れる。



 何を言ったのか、オレは理解するのに時間がかかった。



どうやら、チビ助がオレの事を好きらしい。

まあ、先生だもんなぁ。



 そんなつじつまの合わない考えに気づいて、オレはじっとりと手のひらに汗をかき始める。


 どうしてそうなったのかわからない。

しかも突然すぎる。


 「スキ」という言葉を飲み込むのに時間をかけていると、ようやく俯いていたチビ助は顔を上げる。



 答えなんか、いえるわけないだろう?

先生やっているんだし……。


 それに相手は中学生だ。



 オレは必死にごまかすことだけを考えてた。


「まだガキじゃん」


 一言だけつぶやいた。


 泣いたり怒ったりするんだろうな。

そう思っていたけれど。


「好きになるのに年齢なんか関係ないです」

 さっきまでの弱弱しい声はどこかへ、凛としたまなざしが痛い。


 どうして笑顔でいられるのか、オレにはわからない。

 なんとかしてこの会話を終わらせようと、頭を働かせた。


「…マセすぎ」