休憩所である小さな自治会館の路地裏で、借りたライターを片手にしゃがみこんだ。


 なんだかたどたどしいのは、チビ助。

ただでさえ背格好が小さいのに、さらに小さく見える。


 祭りに連れていくっていったのにずっと働かせているのも申し訳なくて、誘いに乗った線香花火。


 チビ助にそのうち一本を渡すと、黙って受け取りぼうっとその火玉に見入ってた。

オレンジ色の小さな光が、あの瞳をキラキラさせている。


 遠くのほうでたのしそうな声が響く中、オレたちは静寂に包まれてじっとお互いのチリチリと飛び散る音を聞いてた。


まず先にオレの丸い火玉は地面にすっと消えた。

なかなか落ちないチビ助の線香花火を一緒に見つめてた。


 火花が静かになりかけた時だ。


「…きです」


 なにかしゃべった。

 オレは聞き取れなくて、花火からチビ助に視線をずらす。


 チビ助の頬は真っ赤で、潤んだ瞳なのは涙のせいか、ゆれる小さな炎のせいかわからない。



「…太一さんが、好きです」


 ぽたりと火玉が落ちた。