どうやら本当にあたしをお手伝いに参加させるつもりらしい。

このお祭りに誘われたときの笑顔の意味がわかった気がした。


 それならそうといってくれれば、もう少し上手にクッキーも作ったのに。

言おうかと思ったけれど、いつもより子供っぽく見えるその笑顔に何も言えなくなってしまった。



 お祭りを楽しみにきたはずなのに、それを作っている人たちのお手伝いをすることになった。

でもこんなことは大人になるまでできないから新鮮だった。



 太一さんに言われたとおり、常にミルクとスティックシュガーをお盆にのせてコーヒーを配る。

そして差し出すときは、半分に割られたクッキーも添えて。



 それも慣れたころ、まだちょっと早い季節モノをいただいた。

「線香花火?」

「早めに仕入れたんだけど、クッキーのお礼にもらって?」

 ジャンプしたら飛び跳ねそうなおなかを揺らした、雑貨屋のおばちゃんだ。

「太一くんとやっておいで」

「え、でも…っ」

 しどろもどろなあたしに、おばちゃんは腕をぽんぽんとたたかれた。



「太一くんが気になっているんでしょう?」


 その言葉にドキリとした。


 だって、本当のことだったから。

そんなに見ていてわかるものなのだろうか?