目の前にある広い背中と揺れるコーヒー色の髪。
意地悪で、ときどき優しい。
甘くてほんのり苦い、 いつも作ってくれるコーヒーみたい。
太一さんは、ただあたしの手を引っ張ってくれていた。
歩幅が違うから、追いつくのに精一杯だ。
どこに向かっているのかわからないけど、どこか目的地があるらしいのはわかった。
すこし人がまばらになると、そこにはあったのはあじさい祭りに参加しているお店の人たちの休憩所だ。
「チビ助、アレもってるか?」
「あ…アレ?」
急に振り向いた太一さんは気づいたように尋ねてきた。
なんのことを言っているかわからず、あたしはキョトンとしてしまった。
「クッキーだよ」
思い出したようにかばんをこじ開けて、あたしは花柄の紙袋を太一さんに差し出した。
ニンマリと笑って、そのままあたしはそこの休憩所に連れて行かれた。
「お疲れでーす」
太一さんの声に反応するかのようにその場にいた人たちは、一斉にあたしたちを見た。
視線が痛いくらい突き刺さるように、たくさんの目が向けられてイヤな汗が流れる。
「太一くんじゃん」
「あら、小さな彼女連れ?」
意地悪で、ときどき優しい。
甘くてほんのり苦い、 いつも作ってくれるコーヒーみたい。
太一さんは、ただあたしの手を引っ張ってくれていた。
歩幅が違うから、追いつくのに精一杯だ。
どこに向かっているのかわからないけど、どこか目的地があるらしいのはわかった。
すこし人がまばらになると、そこにはあったのはあじさい祭りに参加しているお店の人たちの休憩所だ。
「チビ助、アレもってるか?」
「あ…アレ?」
急に振り向いた太一さんは気づいたように尋ねてきた。
なんのことを言っているかわからず、あたしはキョトンとしてしまった。
「クッキーだよ」
思い出したようにかばんをこじ開けて、あたしは花柄の紙袋を太一さんに差し出した。
ニンマリと笑って、そのままあたしはそこの休憩所に連れて行かれた。
「お疲れでーす」
太一さんの声に反応するかのようにその場にいた人たちは、一斉にあたしたちを見た。
視線が痛いくらい突き刺さるように、たくさんの目が向けられてイヤな汗が流れる。
「太一くんじゃん」
「あら、小さな彼女連れ?」


