「試験が思ったより上出来だったから、ご褒美だ」


 そういうなり、太一さんはエプロンのポケットから2枚の紙切れをカウンターに乗せた。


 それはあじさい祭りの最後に行われる抽選会のチケットだ。

通常は1枚300円で、商店街の自治会から購入することになるんだけど。

 なんでもっているか聞いたところで、太一さんが教えるわけないんだ。


「夜6時にココに来いよ?」




 いつもの意地悪なその顔は、どうしてこんなにドキドキさせるのか。


あたしは、いまだにわからないでいた。