フォーチュンクッキー

 ────なんて、拗ねようとしたとき。


「……がんばれよ」

 こつん、とあたしの頭を小突いて、そのまま雛太は先を行ってしまった。


「素直じゃないなぁ」

 雛太なりの応援を受け、あたしは気合を入れて、これから一年お世話になる教室へ向かった。


 賑やかな廊下を通り抜け、ガラリと戸を引くと、一斉に視線を集めた。

つい先日の卒業式を思い出して、なんとなく太一さんがいそうな…不思議な感じに襲われた。



 そんな制服は、約束どおりサトさんが揃えてくれた。

あの日は涙で霞んだ制服が白とピンクを基調にした部屋に、何着も並んでいて。


でも今日からは、そんな制服を目の当たりにすることが日常になる。


 得意の空回りの元気で、喉を震わせた。

「お、おはようっ」

 あたしは乾いた笑いをしながら黒板に張り出された席についた。




 緊張でカラダが痛くなるくらいの入学式。

先生とクラスメートの顔を覚えるのに必死になりながらようやく終えると、早速、雛太はバスケ部の勧誘を受けていた。


「じゃあね、片瀬さん」

 帰り際、後ろの席の子があたしの肩を叩いて通り越していった。


「うん、また明日!」

 なんとか新しい友達もできそうだし。


スキップというより小走りで、あたしはただ一つの場所を目指した。