しょぼんと肩を落とし、また更に背を伸ばした雛太を覗き込んだ。


「……別々のクラスになっちゃったね」

「まあ、仕方ないだろ」


 寂しい気はするけれど、中学校よりも断然増えるクラス数。

雛太と同じクラスになるのも、本当に少ない確率なのかもしれない。


 ざわめく昇降口へ向かう途中に、在校生の先輩たちがたくさんの看板を掲げていた。

部活の勧誘が、すでに始まっているらしい。

ジャージ姿だけじゃなく、胴衣やユニフォームなど、運動部はすぐみてわかるくらいだ。


「雛太はやっぱバスケ部はいるの?」

「そのつもり」

 隣にいる口数少ない幼馴染も、小学校からずっとバスケをしていた。

プレイ中は、普段からは想像できないくらい叫んでいて、あたしは最初驚きっぱなしだった。

本人はあまり自覚がないみたいだけど、それだけスキってことなんだと思う。


「……じゃあ、雛太は怜さんの後輩になるんだね」

 あの大きな体を活かした迫力あるボール裁き。

体育の授業程度しかやらないあたしにとっては、見るもの全てが魔法みたいに見えた。


そんな怜さんの名前を出すと、雛太はぴくんと反応した。


「元キャプテンの長谷川先輩だろ?あの人すげぇよ」

 キラリ、と興奮気味に目を光らせた。

どうやら太一さんを気に入ってなくても、その友達の怜さんは尊敬しているみたい。


 そんな横顔は、すこしカワイク見えてしまった。