フォーチュンクッキー

「ご、ごめんなさい!
…電話で言おうとしたんですけど、ね。雛太に『直接会っていったほうがいいだろう?』って言われて……」

 しどろもどろと選んでいる言葉。


「あたしもどうしてこうなったのかわかんないんですけど…」


 チラリと睫を震わせる。

そんな些細な仕草も、オレを乱すには十分すぎて。


「でも、会えて嬉しいです」

 ほっぺたを赤くして、それはそれは嬉しそうに微笑む。


 静かになり始めた鼓動も、再び波を立て始めた。

オレは周りとか見えてなくて─……不安と愛しさで胸がいっぱいで。


 その小さな身体を、ぎゅっと抱きしめていた。


「たったたた、太一さんっ!?」


 見事な慌てっぷりも、丸ごと腕の中に閉じ込めた。


「……で?どうだった?」


 クセ毛に顔を埋めるように呟くと、ぴくんと震える細い肩。

ほんの少し間があってから、ためらいがちにきゅっと腰に手が回ってくる。


「太一さん、あたし……」


 なんだってよかった。

オレがいることで、笑ってくれるなら。


 腰あたりのコートを握り締めるチビ助の力が、さらに強くなる。



 雑踏なんか一瞬にして消えた。

次に耳に届いたのは、感極まった震える声。



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