今日はついさっき受験を終わらせてきたチビ助たちの慰労会。

チビ助のお父さんの遅い退院祝いも兼ねている。


「ようやく終わったねぇ」

 だらん、と背もたれに体を預けた杏ちゃんは、いろいろ片付いたのだろう。

懐かしむように瞳を閉じていた。


「残すは卒業、かぁ」

 そっと呟いた雛太くんの言葉が、オレには重く響く。

目の前できゅっきゅと床を拭くチビ助の背中も、なんだか縮こまったようにも見えた。


「その前に、結果発表だろ」

 もう1ヵ月後の話をしているものだから、オレはこつんと雛太くんの頭を小突く。

キッと睨んできたけど、しばらくしてため息とともに視線を外された。


「ってか、オレより未来のほうが危ないもんなァ?」

 そんな言葉に、足元でかがんでいたチビ助の肩がぴくんと震える。

「ひ、雛太のばかぁーっ!」

 すくっと立ち上がると手にしていた雑巾を投げつけていた。

ベシンと、見事に顔にヒット。


「まだわかんなじゃないっ」

 と、言ってはいるものの、その表情は不安げ。

事実、雛太くんのほうが勉強はできるしな。


「ハイハイ、もう終わったんだから神様にお願いしとけよ?」

 もう一枚雑巾を手にしたチビ助の手首を掴み、押しやるように椅子に座らせた。

きょとんとした瞳は、力なくオレを見つめる。



「天のみぞ知る、ってとこだな」


 パチン、と額を弾いてやると、やっぱり頬を膨らませた。