次第にジャラジャラと辺りに響かる大きな鈴から垂れ下がる太い綱が、ようやく目の前に現れた。

オレたちは財布から小銭を取り出し、小さな放物線を描く。


「うーんと……」

 天を仰いで悩んだかと思ったら、何かに気づいたように瞼をそっと伏せる。

その横顔を、焼き付けるように見つめていた。



 高校受験が受かりますように。

ただそれだけのはずだろう?



 チビ助の長いお願いは、オレは聞くことが出来ない。

だから、オレはオレの願いを。





 どうか、チビ助がいつまでも笑っていてくれますように。


後にも先にも、それしか思い浮かばなかった。