聞く権利―……?


 ようやく、このチビ助の苛立ちが垣間見えた気がした。


 サトにヤキモチを焼いていたのか。

確かに、昔はサトを向いていた。


でも、それは『昔』のものだ。



「そんな権利、必要ないだろう?」

 オレが口にすると、チビ助はぱっと顔をあげてくる。


「どうしてですかっ?」

 そこには不安でいっぱいの、大きな瞳が揺れている。

まさかそんな顔をしているとは思わなくて、逆に驚いてしまった。



 ああ、そうだ。

こんな顔をさせたくない。


どうせするのなら、全てはオレの前だけで。


 醜い独占欲は今でも健在だ。



 余裕があるフリをするために、オレは口端を吊り上げて小首をかしげた。


「さて、なんででしょう?」


 問いかけたのに、チビ助はきゅっと俯く。

ほんのり耳が赤くて、それは寒さのせいなのだと思っていた。


「………ずるいです…」

 小さな声を、聞こえていないふりをした。