フォーチュンクッキー

「明けましておめでとうございます!」

 ペコリと頭を下げたチビ助。

「今年も……よろしく」

 今年も、だなんていっていいのかわからないけど。

習って頭を下げると、嬉しそうにチビ助は笑ってくれた。



 さすがに元旦は喫茶店も休み。

暗く閉まった扉の前で、オレたちはゆっくり歩を進めた。



 向かったのは、夏祭りの帰りに雛太くんがチビ助を連れ出したあの神社。

そういう意味ではいわく付きだが、この辺りの氏神様。


 おかげで何人か顔見知りとすれ違う。


「人、いっぱいですね」

 ぴょこぴょこと頭がゆれ、オレは前を歩くようにして人ごみをかき分けてた。

境内がうっすら見えてくると、ようやく列に並ぶことが出来た。


 屋台から芳ばしい香りに誘われながらも肩を並べる。

ふと、三年前を思い出した。


「そういやここ、オレも高校受験のときに来たっけ」

「え?ほんとですか?」


 嬉しそうに聞き返してくる。


「……あン時は……」

 記憶の糸をそおっと手繰り寄せる。




 ……――そう。

サトはオレがわざわざランクを落とした今の高校に受かるために、必死に勉強していた。