フォーチュンクッキー

 そうして冬休みの時間が着々と流れ、気付けばもう今年最後の日を迎えていた。

日は随分短くなり、チビ助をなるべく早めに家に帰す。


 先にコートを着てマスターに声をかけてからカウンターを出る。

オレに気づいたチビ助からは、不満そうに大きなため息が零れた。


「……もうそんな時間かぁ」

 すこし疲れた目を伏せて、両手をぐんと伸ばしていた。


「家だと、他のことしちゃうから集中できないんですよね」

 なんて頬を膨らませている。


 店に来たって、たまにオレのことじーっとみてるくせに。

とは言わないでおいた。


「ほら、いくぞ。おじさんも一人で大変だろう?」


 それだけいうと、何もいえなくなったのか、チビ助は不満そうに黙って頷いた。

あまりチビ助がみせない不機嫌そうな表情。


オレがからかうときに見せるのとは、大分違うのだ。



 ……―これが反抗期?

他人事だからおかしくみえる。



 大晦日は商店街も早く閉まり、シャッターには早くもしめ縄が飾られる。

これから早くても三日間は、静かになるこの通り。


オレたちの歩く靴の音が、寒さを誇張させるかのように響いていた。