フォーチュンクッキー

 コートを着たまま、さっきまで座っていた椅子に腰掛けた。


 オレが居眠りし、チビ助にキスしてしまったテーブル席。……そういう表現をすると、やっぱり心苦しいのだが。


 チビ助の言っていたとおり、テーブルにはいつもの小花柄の紙袋があった。

中身は、ぴらっと紙がはみ出た“フォーチュンクッキー”。


「懐かしいな」

 チビ助のおじさん経由で、昔もらったっけ。


 一枚噛み砕き、器用に抜き取る。

そこには、最近はもう見慣れたチビ助の文字。


『Happy BirthDay!!』


 ささいなことに、オレは笑ってしまう。

だけどそれも仕方ないことだ。



「……ははっ」


 オレの小さな愛しい人。

彼女は意図も簡単に、悩んでいたことさえ忘れさせてしまうほど、オレを前を向かせてくれるのだから。