フォーチュンクッキー

 照れているのか、くるりと背中を向けてきたチビ助。

コートのポッケに手を突っ込んで、オレは声をかけてやった。



「うん、あとでもう一度寄る」


 チビ助はその返事に心底驚いたように、チラリと見てきた。

まるで「え…でも……」とでもいいたげに。


だからオレは、素直に笑ってやったんだ。


 そうしたら、チビ助までつられる様に恥らいながら笑い返してきた。

「……あはは…」

「じゃあ、明日は自習ということで」

「……え?」


 きょとんと見上げてきたまあるい瞳。

その上に存在する、はじきやすいおでこを人差し指でつついてやる。


「明日はおじさんの退院日だろ?
久しぶりに親子水入らずでゆっくりしろよ?」


 白い息が何度も夜空にとけ、その分チビ助の瞬きも多かった。

そして、オレの言葉の意味を理解すると、コクンと顔を縦に振る。


「……はい、ありがとうございます」



 そんな愛らしい姿を残して、オレはもう一度店へと戻ってきた。


いつの間にかいなくなっていたマスターもいて、何も聞かず、ただ「おかえり」と迎えてくれる。