フォーチュンクッキー

 普段より煌びやかな商店街を抜けて数分歩けば、チビ助の家に到着する。

いつものように後ろ姿を見送っていたのだが、何かに気づいたように振り向いてきた。


帰りぎわの照れた顔が、今でも思い出される。


「……これから、お店に戻りますか?」


 もじもじと俯きながら上目遣い。

すこし困った雰囲気が、オレにはくすぐったい。


「なんで?」

 平静を装って尋ねると、何か言葉を捜しているようだ。

唸ったかと思ったら、深いため息を一つ。


「実は、あの……プレゼント、置いてきちゃったんです」

「は?」


 チビ助の言葉を理解できずに、ただぽかんと開いた口がふさがらなかった。

そんなオレが怒っているとでも思ったのだろうか。


 慌ててパタパタとチビ助両手を振り、なだめようと必死そうだった。


「って言っても、いつものクッキーなんですっ」


 誕生日のものか、クリスマスの題目なのか。

その真意は分からないけれど、チビ助はオレのためだけに両手を真っ白にしながら作ったのだ。


「……へぇ」

 そっけないフリをして見せる。

けど、内心、いやらしいほどニヤついてしまっていた。


「あ、明日でもかまわないんで……っ」