フォーチュンクッキー

 そんなオレに気づかず、軽快に進むチビ助。


 家までに必ず通る商店街はいつもより少しにぎやかだった。

観光するほどのものではないけれど、アーケードの天井は赤や黄を基調としたイルミネーションに彩られている。

やはり今日ばかりは、人が多い。


 オレたちはいつかの日みたく、肩を並べて人の波を塗って歩いた。

あの時はこうなるなんて、ちっとも思っていなかったけれど。



 そして、ちょうど中間地点にあたる公民館の前。

やけに人だかりを見せているのは、顔を出すように突き出ているきらびやかなモミの木。


オレも見上げるほどのツリーが飾られていた。


「きれいですね〜!」

 隣で同じように見上げたのは、やけにテンションの高いチビ助。

それがなんだかおかしかった。


 まん丸の瞳が、光を反射してさらに輝かせるよう。

触れたいという欲望と、さっきの己の行為への罪悪感が一緒になって襲い掛かってきた。


「…そうだな」

 誤魔化すように適当に答えていると、なにやら悩ましげに腕組をはじめた。


「毎年、イブと当日しか飾らないなんて、もったいないですよね」

「そうだな」

 なんでお前が悩むんだよ、と心の中で笑いながら、チビ助に相槌を打つ。