それから何十時間にも似た数刻後。

頭を抱えて深い自己嫌悪に陥ってる中、ようやくチビ助が目を覚ました。

「太一さんに怒られる!」
と、よくわからない寝ぼけた言葉を添えて。

 愛しいけれど、今のオレにはそれすらもいけないことのような気がしてた。


「……あれれ、ここはぁ〜……」

 まん丸の目を凝らしながら、言い掛けて気付いたらしい。


「あれっ、太一さん!?」

 キョロキョロと見渡したチビ助は、店の端っこで肩を落としているオレにようやく気づいた。

ぱっちりと目が合ってしまい、おかげでさらに罪悪感が重くのしかかることになった。


 いやいや、相手は気づいていないのだからカウントされない!

などと最低な言い訳を正当化するように咳払いをして席を立つ。



「ほらチビ助、帰るぞ」


 辺りはもう暗くて、店の窓も寒さで白く曇り始めていた。


 コートを羽織り、見上げた空はきらきらと星が瞬く。

冬のほうが星がきれいに見えるというのも、頷けてしまう。


「真っ暗だあ」

 息をはぁっと白くさせたチビ助が、両手を擦りながら同じく見上げていた。


 歩き出したいつもの道は、あちこちで家庭用イルミネーションを輝かせる家並が幻想的にすら見えた。

本当は単に勉強した帰り道のはずなのに、デートをしていた雰囲気にさせる。


 と、想いにふけっていたら、先ほどの自分の行為にまたため息が出た。