フォーチュンクッキー

 からかうおじさんの言葉にあたしはドキドキしてしまうものの、太一さんはいたって余裕。


「ほら、レース始まっちゃいますよ?」

 チラリと新聞に視線をずらし、あしらうように笑って見せた。

おじさんもソレに釣られるように「おおっと」といいながら、わたわたとし始めたのも事実。


 出会ったときに、確か大声を挙げて悔しがっていたのを思い出していた。


 ちょこんと座っていたあたしは、そんなヤリトリを横目にコートを端におきゴソゴソと勉強道具を出していた。

だから急に声をかけられて、なぜか緊張してしまった。


「できた?」

 邪なキモチもあってここに来てしまったのがバレてしまったのだろうか?

太一さんは覗き込むようにあたしの目の前で頬杖をつき始める。


「えっ、あの……その…」

 分からないので教えてください。

といえばよかったものの、あたしはバカ正直に困ってしまった。


 どうやって説明しようかと俯いてしまったあたしの頭は、ぽん、とはじかれる。


「めかしこんで、さてはクリスマス気分だな?」

 ふと顔をあげると、頬杖をついたままニンマリと意地悪く笑っていた。


「そ、そんな……っ!」


 むしろ太一さんの誕生日を……なんていったら、余計に怒られそうだ。

やっぱり失敗したのかな?


 あたしは一人でパニックになっていたのだけど、目の前の太一さんは、広げていたノートをひょいと取り上げる。


「なんだよ、まだじゃん。……どれどれ?」