フォーチュンクッキー

 確かに、今は太一さんの隣にいれる存在ではないのだけど……。

それでも、太一さんがサトさんに向いてしまうのは、すごく嫌だった。


「あたしは……まだ生徒なんだからっ」


 せめて今日だけ。

クリスマスイブなんだし、お洒落も頑張ろう。


 お気に入りの黒いニットのワンピース。

いつもより結っている位置も下にして、おしとやかに見えるように。


 洗濯物をさっさと干して、いつものコートを羽織る。

……それに、こっそり言い訳しながら作っておいたクッキーを持って。



「あたしだって……太一さんの誕生日、お祝いしたいもん」


 怒られるかな?

そんな不安を胸に、念のため勉強道具もカバンに詰めて、静かな我が家を後にした。