フォーチュンクッキー

 付き合っていた、とはいえ。

あまりにも自然にお父さんと話す太一さんは、やはりバイトしている甲斐があるのだろうか?


 そんなやりとりを横目に、簡単にまとめたお父さんの荷物を持とうとした。

けど、すっと横から手が伸びる。


ゆっくり顔をあげれば、軽く会釈した太一さんは大事そうに手に持っていた。


「今日は荷物を持って帰るだけでいいんですよね?」

「いつも悪いね。……よろしく頼むよ」


 すこしはにかんだお父さんに、あたしはそっと手を振って病室を出た。

ぽつんとベッドに座るお父さんは…すこし寂しそうだった。


「ほら、いくぞ」

 変わらない太一さんに、戸惑ってしまうのはあたしだけ……?


 お父さんの荷物を持っ太一さんと、肩を並べて家路に着いた。

道中、お互い終始無言であたしの手のひらはじっとり汗をかいていた。


 手を握られたり、変わらない態度……。

何から話していいのか、あたし自身がわかっていなかった。


 見慣れたアパートにたどり着くと、太一さんはようやく荷物を渡してきた。

「じゃあ、オレはバイトいってくるから」

「……えっ、あ、はい…」

 いつもみたく、我が家で勉強するものだと思ったから、あたしは驚きでしどろもどろとしてしまった。

そんなあたしの視線に気づいたのか、

「わかんないとこあったら、遠慮なく店に来いよ?」


 そういって、優しくあたしの頭をくしゃっと撫でてくれた。