「……悪いかよ?」
投げ付けるように言い放ち、あたしの手を引いてそのまま病院の入り口にむかっていく。
責めるわけでもなく、だけど余裕満々なわけでもなく。
とってもシャイな太一さんが、どうしてそんなことをいうのか……?
まだ、太一さんの気持ちを図りかねている。
「太一さん………?」
手の温もりに脈がどんどんあがっていくのは、あたしだけじゃないのかな?
「………なんだよ」
ぶっきらぼうな太一さんの言葉。
あたしも太一さんも、一体どんな顔しているのかわからない。
「あの……」
太一さんの手も熱いです。
そんなことをいったら、またデコピンですか?
「いくぞ」
ほんの少し、握られる手の力が強くなったのがわかった。
ずっと静かな太一さんの背中。
ちょっと前までそれすらも怖かったのだけど、今は不思議と近くに感じる。
「はい…………」
見慣れていた風景が、鮮やかによみがえるような感覚だった。


