フォーチュンクッキー

 場違いともいえる、あたしたちの緊迫した空気とは反対のすこし力が抜けるような声。

あんぐりと、太一さんの口まで開いてしまっていた。


 ゆっくりと声が降ってきた背後に振り向くと、そこにいたのは、太一さんの高校のバスケ部マネージャーさん。

ふわふわしたカンジで、サトさんとはまたちがった可愛さだ。


「……ま、松永さん?」


「二人とも病院の前なんかで喧嘩しちゃってぇ」


 太一さんの驚いた声にクスクスと笑いながら、マネージャーさんは近寄ってくる。

言われて気づいた、いつのまにか、すぐ先には病院の入り口。


 これじゃあ、周りの視線を集めても仕方ない。



「あっ、もしかして!」

 何かを思いついたのか、ぱぁっと顔が明るくなる。

だけどそんな雰囲気を感じ取った太一さんは、ぴくりと眉をゆがめた。


「…………なに?」

 太一さんの質問には答えず、すたすたとあたしの前までやってくると、がしっと肩を掴まれた。

突然のことに、あたしはびくっと肩が震えてしまった。


「平山先輩、女の子をいたわらなきゃだめですよ?…もう一人の体じゃないんですから」


 にっこりと花のように微笑む。

だけど、あたしはナニを言っているかわからず、ぽかんと二人を見比べているだけだった。