フォーチュンクッキー

「よ、夜はですね、おじさんがサンタの格好で……」


 パタパタと身振り手振り伝えようとしているのだけど、一瞥するような視線しか太一さんは送ってこない。

必死に取り繕うとしてるのに、太一さんはますます口を紡ぐ一方。


 さすがの幼馴染のあたしも、ネタがつきそうだった。


「あとは…ですね。えっと、雛太が………」


「あのさぁっ!」


 何年分も思い出そうと、脳みそを動かしてた。

太一さんもすこしは雛太のことを理解してくれれば、あんなに喧嘩にならないのだと思ったから。


だけど、裏腹に太一さんは怖いくらい声を荒げた。


「……は、はい」


 ぴたりと太一さんの足がとまり、あたしも一歩先に進んだまま振り返った。


 とても機嫌がいいとはいえない、険しい表情。

さっきまであんなに笑っていたのに。


 あたしはまた、なにかしてしまったのかな?

いつも太一さんを困らせてぱっかりで……。


 しゅんと肩を落としたあたしに一歩近づいてきた。


「オレの前で……っ」


 なにかを吐き捨てるかのように呟く。

辛そうな声音に、あたしは思わずきゅっと下唇をかむ。


 すうっと息を吸い込んだ太一さんに、あたしは緊張で足が根を張りそうだった。


だけど……


「おやおや?喧嘩ですかぁ〜?」