フォーチュンクッキー

 本当の本音は……口にする勇気の欠片もないのだけれど。



 太一さんのことを、本当はずっと好きでいたい。


…―なんて。

『疲れた』といってしまった手前、考えるのも戸惑ってしまうくらいにいえない。


でも、この前サトさんに言われたとおり、太一さんがサトさんに向いてしまうのもいやで。



「あ、あの……た……たん…た…っ」

 もごもごと、うまく言葉を乗せられない。

なんだか呼吸までおかしくなってきてるみたいで、やけに息が荒い。



「なんだよ、『たんたった』?」


 クスクスと笑って、本を閉じてしまった。


 気がそれているうちに言おうと思っていたのに、これでは台無しだ。

余計に混乱して、あたしは言葉に詰まってた。



「ああ、そうだ」


 焦りすぎて思考回路がおかしくなりそうなあたしに、シンと積もるように太一さんの声が響いた。

真っ赤であろう顔を、隠しながらもゆっくりあげる。



 そこには、やっぱり心臓に悪いくらいの笑顔。




「終業式だって、勉強だからな?」



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