フォーチュンクッキー

 終わりが近づく音が、胸の奥で響く。

こうして視線を落として読みふける横顔も、すこし気だるそうに頬杖をつく姿も……。



 急に襲い掛かる寂しさを振り払うように顔をブンブンと振る。


 ダメダメ!
あたしが暗い顔してたら、太一さんに心配かけちゃう!


「んん?どうかした?」

 チラリと、太一さんは視線だけ投げてきた。

そうだ、目の前には学校終わりにテストを見に来てくれた太一さんがいるんだ。


タイミングがよすぎて、あたしはドキリと震えてしまったけど。


「な、なんでもないです~」

と、「あはは」と慌てて乾いた笑いをして、すぐにノートと向き合う。



 あたしがお祝いするのは筋違いなのかもしれない。

だけど、せめてこれくらいはしたいと思っちゃう。


 勇気を振り絞って、言わなくちゃ。


「た……太一、さん?」


 誕生日、一緒にいたいです。

たったそれだけを言えばいいのに、あたしの喉は妙にビブラートが掛かってしまう。


「んー…?」

 そぉっと前髪の隙間から太一さんを覗いてみると、まだ俯いたまま返事をしていたみたいだった。