「あの…。ちゃんと、話しておきたくて…」


 震える声が響いてくる。


「……うん」


 なんにも考えられなかった。


 ただ、チビ助が笑ってくれればいい。

オレには、最初も最後ももうそれしかないのだと、ようやく気づけた。



「た、太一さんの考えとか気持ちとか……。ちゃんと聞きたいんです」


 すこし距離の開いたオレたちの距離。

でも、見つめてくる視線は痛いほど真剣だ。



「うん」

 軽い荷物のはずなのに、手のひらは相変わらず汗が止まらない。


「なんでもいいんです。あたしにできるコト、教えてください」



 つぶらな瞳はぶれることなくオレを見据える。

見すかされているんじゃないかと、怖くなるくらいまっすぐと。



「じゃあ、さ。一つ、お願い聞いてもらってもいい?」


 一歩、また一歩とすこし先を歩いていたチビ助に近づく。


 予想外、とでもいいたそうな表情にオレは少しだけ笑ってやった。