「でももう関係ないんだったわね。…その理由を教えてあげる義理なんてないもの」

 ツンと顔を背けたサトさん。

 思わず「なんでですか!」と、口にしそうになったけど、あたしには聞く権利はないのかもしれない。


 そんなふうに思ったときだ。


「だけど、ヒントはあげる」


 そういって俯いたあたしに近づいてきたサトさん。

なにをされるんだろうと、ビクビクしていた。


 不安でいっぱいのあたしに、驚くほど優しい声が降ってくる。



「太一の気持ちは、太一にしかわからないわ」


 トンと肩に手をおかれたと思ったら、そのままくるりと回される。

「…えっ」

 驚く間もないほど、180度変わった景色。

直後にドン、と腰を押される。


「ほら!今のあんたができることしてきなさいよ!」


 あたしは太一さんの何をわかってあげられるんだろうか。

会ったところで、なにもわからないかもしれない。



 それでも。



「……っ!」



 太一さんの想いを、一つでも受け止められたのなら……

あの傷つけてしまった言葉を少しでも撤回できるのかな。



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