フォーチュンクッキー

「あたしだって……っ!!」


 太一さんが好きなのは、変わらないもの。

だけどサトさんは、さらに強気であたしを一瞥する。


「もういい、って言ってたじゃない」

「…!!…そ、それは……っ」


 今更になって、自分の口にした言葉を目の当たりにする。

つい先ほどまで後悔してた。


 ……違う。 本当は、今でも…。



「なんで自分のことばっかり、っていってたわね。
そんなの、あたりまえじゃない」


 ひんやりとした風は周りを吹き抜けているのに、あたしの身体はぽかぽかしていた。

ぐっと握っていた拳も、じんわりと汗をかき始めている。


「みんな自分の道を歩いているんだもの。
確かに、あのとき太一を責めるべきではなかったかもしれないけど……それでも、あたしはやっぱり言ってほしかったから」

 軽く微笑んだサトさんは、たった三歳しか離れていないなんて思えないほどきれいに見えた。

こんなうじうじとした自分は醜くなる一方なのに。
 

「……でも。言ったって変わらないじゃないですか」


 ヘタな口答えみたいな言葉。

だけど、あたしがあの言葉を口にした大きな理由。


 行かないで。

そういったら、太一さんが留学をやめるなんていうわけない。


 本当は誰よりも応援したいから。