フォーチュンクッキー

「チビ助…っ」

 今までとは違う声音に、あたしは便乗した。


「そう、あたしはただのチビ助です。なにもできない……ただのコドモなんです」


 ぎゅっと握った拳が震えているのは、寒さのせいのはずだ。

外は、今にも雪が降りそうなくらいだし。



「今日は…それを言いに来たんです」


 太一さんの顔が、なぜか歪んでた。

つかつかと勇み足でよってきた雛太でさえ歪んでいて、じんわりと目頭が熱いのも気のせい。


「なにバカなこといってんだよっ!」

 両腕を掴まれたけど、そっとその手を外してもう一度頭を下げた。



 とても優しい笑顔と、とても温かい時間をくれた……

あたしの大好きな人に。


「……たくさん、…ありがとうございましたっ」


「チビ助っ!!」


 それだけ言うと、あたしは猛ダッシュで店を出た。

最後の声を振り払おうを全速力で走る。


だけど、頭に浮かぶのはいつだって苦い香りをまとった太一さん。


 息苦しくてようやく立ち止まり、溢れる涙が零れて作るシミをただ見つめていた。



「…ふぇぇ……っ」


 意地悪ばっかいうし、すぐからかうし。

いっぱい髪も引っ張られて、いっぱいおでこも弾かれた。




「…太一さんなんか」


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