フォーチュンクッキー

「お願いです……。やめてください…」


 あたしは無心で腰を折って床を見つめていた。

ぼんやりと自分の影が伸びていて、なんだか夢心地だった。


「あなたは辛くないのっ!?あたしは……っ!…寂しい」

「サト……」


 涙声のサトさん。

たとえ二人の間に強い何かがあって、あたしには到底叶わないものだとしても。


 あたしの今の想いは、たった一つのはずなんだ。


「もう、やめてください。雛太もサトさんも……太一さんも」

 静かなあたしの声が、やけに響く。


「チビ助…?」

 戸惑う太一さんの声に、あたしはようやく顔をあげる。

驚いた三人の顔は、店内の明かりにキレイに照らされていた。



「どうして、自分のことしかいわないの?……これは太一さんが決めたことなのに」


 言葉を唇にのせていくと、どうしてか震えていく。

せっかくひっこんできた涙が、また刺激されてしまってるみたい。



「太一さん。……もう、あたし疲れちゃいました」


 そう、なにもかも考えたくないんだ。

誰もいない家に帰ることも。

いなくなってしまう太一さんのことも。


全部全部、嘘だったことにすればいいの。