フォーチュンクッキー

 一瞬、冬の乾燥した風が吹いたと思ったら、サトさんは勢いよく扉を開いていた。


「ちょっと待って!」


 カランッ、と聞きなれたベルの荒い音は、あたしの心臓を駆り立てるだけ。 

まだ店の外にいるというのに、緊張が張りつめられた空気が溢れてきた。


「さ、と……?」

 戸惑う太一さんの声。


 あたしでさえ、そんなの滅多に聞けないのに。

なんて、ヘンなところであたしは嫉妬しちゃってる。


「……太一、嘘でしょう?」

「ごめん」

 サトさんの動揺した状態が、見なくてもわかった。

あたしだって、ショックだったもの。


 だけど、ね。

太一さんは悪くないんだもん。


「なんで……?なんで、いつも言ってくれないのよ……っ」

 サトさんの責め立てる言葉が、あたしの胸に突き刺さる。


 みんな、どうして?


「…めて……さい」


 無我夢中であたしも扉を開いていた。

そこには目を丸くした雛太と目を真っ赤にしたサトさん。



そして、困った顔の太一さんがいた。