なんか、変な顔してるし。

「太一さん…」

 少しほっぺたを膨らませ、あまり見ない不機嫌そうな顔をのぞかせている。


「何?」

 オレは疑問に思っていると、ようやくチビ助は口を開いた。



「…なんでもないです」


 オレはどこか構えていたとこもあって、一気に肩の力が抜けた。


チビ助は目を伏せるように、サボっていた勉強を始めた。


 なんなんだよ、一体。



 無言でペンを走らせるチビ助を横目に、オレのエプロンに忍ばせておいた携帯電話が震えた。


表示を見るとメールだった。


 マスターも出かけているし、店内にはチビ助だけなので気にせず開いた。


『あの店でバイトしてるの?
また遊びに行くけど、学校にもきなよ?
来週からは中間試験だよ!』



 サトらしい文章だ。

ふっと笑ってしまったら、またチビ助が変な顔で見てくる。



 何だってんだ。