他愛もない話で帰り道は盛り上がる。
さっきまで泣いていた自分が嘘みたいだった。
考えすぎなんだ、って杏ちゃんに言われる度に、本当にそう思えてくるから不思議。
そんな杏ちゃんは、しきりに言ってくれる。
「もう会えなくなるわけじゃないよ」
確かに、会いたいと思ったらすぐには無理。
けれど、きっと太一さんならそんなあたしの想いも見透かしていそうだもの。
「じゃあね、太一さんによろしく!」
「うん、杏ちゃんこそ塾がんばってね!」
あたしたちは励まし合い、あじさい商店街の入り口前で別れた。
このときのあたしは、もう気持ちが軽くなったつもりだった。
いつもの芳ばしい香りが漂う喫茶店から、聞き覚えのある怒声が響いてくる。
その店内の雰囲気とは著しくかけ離れた荒い言葉に、なぜか嫌な予感がしてしまう。
「どういうことだよ!」
ひょっこり窓から覗くと、客一人いない店内のカウンターに身を乗り上げている後ろ姿。
「……雛太?」
あたしは首をかしげてドアに手をかけようとしていた。
「いらっしゃい、雛太くん」
やけに落ち着いた太一さんの声がした。
さっきまで泣いていた自分が嘘みたいだった。
考えすぎなんだ、って杏ちゃんに言われる度に、本当にそう思えてくるから不思議。
そんな杏ちゃんは、しきりに言ってくれる。
「もう会えなくなるわけじゃないよ」
確かに、会いたいと思ったらすぐには無理。
けれど、きっと太一さんならそんなあたしの想いも見透かしていそうだもの。
「じゃあね、太一さんによろしく!」
「うん、杏ちゃんこそ塾がんばってね!」
あたしたちは励まし合い、あじさい商店街の入り口前で別れた。
このときのあたしは、もう気持ちが軽くなったつもりだった。
いつもの芳ばしい香りが漂う喫茶店から、聞き覚えのある怒声が響いてくる。
その店内の雰囲気とは著しくかけ離れた荒い言葉に、なぜか嫌な予感がしてしまう。
「どういうことだよ!」
ひょっこり窓から覗くと、客一人いない店内のカウンターに身を乗り上げている後ろ姿。
「……雛太?」
あたしは首をかしげてドアに手をかけようとしていた。
「いらっしゃい、雛太くん」
やけに落ち着いた太一さんの声がした。


