ひとしきり泣いたけど、時間は待ってくれるはずもなく、午後の授業が始まってしまった。


こんな話をして、杏ちゃんはなにもいえず困っていた。


 それも仕方ない。

これは……太一さんが、決めたことだから。



あたしにできることならなんでもする。

だから、笑って太一さんを見送らなきゃ。


 ……そう、思う。



 せめて心配をかけないように、受験だけはがんばらないと。

頭ではわかっているのに、涙は勝手にこぼれてしまう。




「全部嘘だよ」


そういって笑ってくれたら、少しすねちゃうけど許してしまうんだろうな。



 まぼろしの太一さんを描いては、すぐに消した。