「太一?」

 不思議そうにサトは見つめてきた。


 休日だって言うのに制服を着て、一つに後ろで結った色素の薄い髪を揺らしてた。


「…どうしたんだよ」

 どうにか搾り出したオレの声に、サトは笑ってた。


「これからコンテストの表彰式なんだ」

 嬉しそうにピースサインを作って、かわいらしい顔で微笑んでくる。



 サトの笑顔は、やっぱりかわいい…。


 見とれてたなんていえるわけないから、なんとか言葉を探した。


「が、がんばれよ」

「もう終わってるって!」


 オレにツッコミを入れるかのように手をヒラヒラさせる。


 手持ち無沙汰のオレは、会話につまづいて手短な布巾でカップを拭き始めた。

そんなオレをみて、サトもほっそりとした腕にはめているガッチリした腕時計をみた。


 華奢なサトに不似合いな、腕時計。

「あ、いかなきゃ!また来るね」

 そういい残して、サトは店を去った。

名残惜しいような、ほっとしたような。


 そんな複雑なオレはため息を一つつくと、忘れていたチビ助にチラリと視線を落とす。



 ……ん?