じぃっとみていたら、そんな彼女に気付かれてしまった。

慌てて広げているノートに視線を落としたけれど、窓の向こうに気配がだんだん近づくのがわかった。


 ああ、どうしよう~っ!さすがに怒られるよね、ヘンなヒトって言われるよね!?

一人で勝手にパニックして困ってたとき。


 くい、っと右の結ってる髪が引っ張られた。


「コラ、チビ助っ」

 例のごとく先生からのお叱りだ。


「まーた、お前はぁ……っ」


 でも太一さんのこわーいお説教は、チリンと涼しげに鳴った扉の音に遮られた。


 ほっとしたのも束の間。

太一さんは入り口を見てぽかんとしていた。



「…太一、なにしてんの?」


「サト……」


 太一さんは呆然と。

さっきのカワイイ女の人を、サト、と呼んだ。