フォーチュンクッキー

「た、太一さん…?」

 あたしの声に軽く微笑んでくる。

呆気にとられた瞬間、そのまま手を取られて引っ張られた。


「ちょっと、太一!サボるんじゃ…」

 サトさんの呼び止めにも臆することもなく、意地悪そうにあたしを見下ろしてくる。


「そ、そうですよ、お店どうするんですか…!」

 さっきまで八つ当たりのように怒っていた自分はどこへやら。

そんなあたしの体をぐるりと回して、たくましい腕を首に回してくる。


 正面には、さきほどまでいたお店の裏側。

怜さんやサトさん、さらにこそこそ話していた人たちがびっくりしていた。




「オレの彼女」



 そういうなり、背後からぎゅっと抱きしめてきた。


 恥ずかしさが一気に爆発するように体中が火照りだす。


「た、太一さんっ!?」


 見上げると、してやったりとでもいいたそうに意地悪な笑顔。


 軽く舌をべえっと見せてきたから、怒りたくても怒れなかった。


むしろ、嬉しいくらいなんだけど…。



 何もいえなくなってしまったのを見透かしたんだろうか。


そのままされるがまま腕を引っ張られて、せっかく会えた杏ちゃんたちとも再び離れてしまった。




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