フォーチュンクッキー

 それは微かだったけれど、あたしにははっきり聞こえた。

思わず足がピタリと止まってしまった。


 確かに背は小さいから、まだ小学生くらいに見られてしまうこともあるけど。

あたしが太一さんを好きになってしまったのは、おかしいことなのかな…。


「未来ちゃん?」

 不意に前を歩いていた怜さんが声をかけてきて、失いかけた我を取り戻す。


「あ、すみま…せん…」

 怜さんは優しい。

何かを悟ってくれたかのように、大きな手のひらで頭を撫でてくれる。


 太一さんは、あたしなんかでいいのかな?


 こみ上げる不安。

学校に来れば、一緒に同じものを見て笑い合える素敵な人たちがいて。

それこそ、こんなチビッコなあたしじゃなくて。


もっと太一さんに似合うようなかわいい人たちが…。


「未来ちゃん、行こう?」

 ゆっくり見上げれば、満面の笑顔が太陽よりもまぶしい。

黙って頷くしかできなかった。


 背中をゆっくり押されたときだった。