フォーチュンクッキー

 本当に自分でも不安になるほど、反対側の歩道も人がいっぱいだった。

でも、制服姿というより、私服姿の小さい子供からおばさんやお年寄りが目立つ。

多分この辺りの地域の人たちなんだと思う。


 中学と高校の違いは、こういうところでも違うんだ。



 少しずつ歩を進めて、十分くらいで大きな門にたどり着いた。

大きな横断幕が何枚も風になびいて、それには各催しごとの宣伝がされていた。

かわいいイラストなんかも描かれていて、手作り感が溢れている。


「すっご~い…」

 あたしはたまらずため息がこぼれた。

「太一さんどこかなあ?」

 いつの間にかもらってきたパンフレットを杏ちゃんがめくっていた。

入り口のほうには、小さな受付みたいのがあって、おそらくそこでもらってきたんだろう。


「未来、アイツは何組なんだよ?」

「………え?」

 雛太の疑問に声が上ずった。

そのせいか、杏ちゃんと雛太に同時にため息をつかれてしまう。


「それくらいわかってなさいよー」

 杏ちゃんの言葉に、雛太も呆れて肩をすくめていた。


…うう~っ、返す言葉もみつからない。

肩を落としたあたしは必死に今までの会話をたどってみるも、全然手がかりなんてなくて。


「…あっ、でも、確かチョコバナナやってるって!」


 どうにか思い出した太一さんの言葉。

だけど同時に、太一さんのお母さんがやってきたことも頭によぎった。