フォーチュンクッキー


 夕焼け色の空は、なんだか切ない。

 悲しいときも、嬉しいときも、こんな色の空を見ていた気がする。


 ようやくついた喫茶店の前で一度荷物をおろす。

「ふう、やっとついたぁ」

 扉に手をかけて、ひょっこり覗こうとした。


「あれ、チビ助?」


 後ろから、大好きな声が聞こえた。

 確かめなくてもわかるから、自然と顔を緩んでしまう。

「太一さん!」

 振り返るとビックリした顔の太一さんがいて、思わず抱きついてしまいそうなのを堪えた。


 …だって、たった三日間だけど、こんなに会えない日はなかったから。


 足元の大きな荷物をみてクスリと笑われた。



「おかえり」

 優しいその笑顔で、あたしは恥ずかしくって、でも嬉しかった。

 がんばって負けないように笑って答えた。


「た…、ただいまです」


 この空が、オレンジみたいに甘酸っぱい気がした。




 カランと乾いた音とともにお店に入ると、これまたビックリした顔のマスターが出迎えた。

「あれ、未来ちゃん?旅行じゃなかった?」

「今帰ってきたんです~」

 大きなかばんは太一さんがもってくれた。

 扉を開いて待ってると、サンキュ、って小さな声が掠めた。


 そんなささいなことで胸がきゅんって締め付けられる。


 雛太を思えば、確かに後味はよくなかった。

 それでも「がんばれ」っていってくれたから、なおさらこの想いは大切にしなきゃいけないんだと実感した。