「あ、ごめん…」

 なんだか体が重くって、眠い目をごしごしこすった。

「あとちょっとで家なんだから、がんばって!」


 姉がいたらこんなカンジなのかもしれない。

 あたしのリュックを棚から手渡してくれる。


 腰を上げて大きく伸びをすると、もうあたしと杏ちゃんしかそこにはなかった。


 慌てて荷物を抱え、バスを降りる。

それを見計らったかのように、福原先生がパンパンと手を叩いた。


「帰るまでが修学旅行ですよ!気をつけて帰ってくださいね。明日はお休みですから、きちんとゆっくり休むように」

 簡単に挨拶を済ませ、各々帰路に着いた。



 夏休みを終えると、あたしたちはすぐ2泊3日の修学旅行だった。

だから荷物は休み中にそろえたりという時間にもなっていた。


 そしてたった今、その修学旅行を終えて学校に帰ってきたばかりなのだ。

外はもう夕焼け色で、ちょっとだけ肌寒ささえ感じるほど。


 Dバックを方に引っ掛け、背中にはリュックもあるからなんとも変な格好だ。

それでもみんな似たり寄ったりだから、この際仕方なかった。


「杏ーっ」

 隣の杏ちゃんは名前を呼ばれて振り返ると、そこには車から顔を出すおじさんとおばさん。

「お母さん、お父さん!」

 そういってその車に駆け出した。

 優しそうな杏ちゃんのおじさん、おばさんはあたしのこともよく心配してくれていた。


 目が合うと、あたしはペコリと会釈だけした。